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65て」(2021年9月23日閲覧)では当時被害の多かったカーナビが注目されているが、仏像への言及はない。古物営業法改正等による規制強化が仏像にまで及ぶのはだいぶ先のことだろう。・そうは言っても、実際にオークション・サイトでの盗難仏像売買を規制・処罰することは容易ではあるまい(特に国際的規制・処罰)。そうなると出品者・購入者への実効性のある啓発活動によって心理的抑止を図るのが妥当なところだろう。これについては一般のサイト利用者も参加して論議すべきである。・仏像の合法的売買(正当な所有者から博物館やコレクターへの適正価格での売却)は盗まれるよりはまし、という点で盗難対策と言えなくもない。しかし、信仰対象で、地域の象徴でもある仏像の売買は適切な売買手続きを踏み、買主がほぼ恒久的に維持管理できることの裏付けが必要で、短期間に転売して利益を上げようとする業者への売却は随時キャンセルできるくらいの厳しいルール作りが必要である(仏像所有者が不明になっては地域住民にとっては盗難被害と変わらない)。・盗難に遭った仏像は行方不明となるが,時として放置された状態(破壊を伴う痛ましい例も)で、あるいは犯人逮捕によって発見されることもある。こういった際に個体識別と日頃の管理が決定的に重要であることをこれまで述べてきたが、盗んだ人と盗まれた仏像はあるのに盗まれた人が見つからないという返還不能仏が少なからず警察を煩わせることになるようである。その最終的行先については、先に触れた和歌山県立博物館によれば、県警察→県立博物館という「自然な」流れがあるそうである。・ネット上の情報を見ていると、盗んだ仏像の身代金を要求する悪質窃盗犯もいるとか、行方不明なままの御本尊の代わりに新しいお像を作ったら盗品が見つかったとか、深刻な被害例が報告されている。残念なことではあるが、様々な事態を想定して対応できるよう日頃から考えておかなくてはならないようである。※ネット情報閲覧日記載等の都合で西暦に統一しました。以下に対応表を掲げます。西暦2009年→平成21年西暦2010年→平成22年西暦2011年→平成23年西暦2012年→平成24年西暦2013年→平成25年西暦2014年→平成26年西暦2015年→平成27年西暦2016年→平成28年西暦2017年→平成29年西暦2018年→平成30年西暦2019年→平成31/令和1年西暦2020年→令和2年西暦2021年→令和3年謝 辞 ラオスでの仏像修復プロジェクトに参加の機会を与えてくださった身延山大学学長はじめ諸先生がた、特に柳本伊左雄特任教授、ジル・エマ・ストロースマン特任講師、そして国際日蓮学研究所の若き仏師たちと庶務スタッフ、ルアンパバンでお世話になった皆さまに心より感謝申し上げます。筆者にとって近年のテーマである「文化財保存と社会の関わり」にラオスは新しい視野を開いてくれました。また、帝京大学理工学部近藤直樹准教授には、現地にも赴いて戴き、3D計測・3D造形、ドローン、その他さまざまな科学的アドバイスを賜りました。記して感謝申し上げます。 末尾ながら、仏像修復で日本とラオスを結びつけたこのプロジェクトの持続と発展をお祈り申し上げます。

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