(写真⑧:10時0分)(写真⑩:9時40分)(写真⑨:12時50分)(写真⑪:12時40分)284.黄土の顔料の実験を用いた顔料だった。顔料を塗った板を水に入れてすぐ、顔料が流れ落ち始めた。初め、顔料が割れ目から流れだし、縞模様になった。やがて、全体の色が塗った時の元の色と比べ写真⑥と⑦を比較するとわかるように薄くなった。 写真⑧、⑨を見比べるとわかるようにnam-man-nyangとdine-harngを混ぜて用いたものは、色が元の色より、オレンジにちかづいた。色が若干変わったが、UNESCOの作成方法や水だけの組み合わせに比べると、水への耐久性が高いと言える。 最後に、dine-harngと軽油を混ぜた顔料は、水への耐久性もよく、3時間後綺麗な色が残って、色や質感が他と比べほとんど変わらなかった。この方法は現地の人が近年、顔料を作る際に用いている方法であり、その利点は写真⑩と⑪のわずかな違いを見て理解できた。しかし、軽油は簡単に燃えるので、建物への塗布を行う場合はこの方法は決してお勧めしない。 この実験は、ユネスコが指定している赤土の顔料の作成法に基づき行った。しかし、これらの作成法は建築物の壁に用いる顔料のものである。私たちは仏像制作の研究を行っており、仏像修復に用いるためには上記四つの作成法では顔料が薄く適していないと考える。Nam-mannyangに対するDine-harngの量を増やさなければならない。Nam-mannyangやkhamouk(菩提樹の灰と漆を混ぜたパテのような充填剤)の色が濃く、隠すためにDine-harngをかなり濃い色にしなければならない。金箔を貼らない場合でも、濃くしないと、木地の色が透けて見える。日本には弁柄の文化もあるが、ラオスでも、金箔の下地に赤色を用いることで金の発色がよくなると考えられていた。風化により金箔が剥れた際も、効果があると考えられる。 黄色顔料の元となる石はラオスの人々に「dine-leuang」と呼ばれており、なじみのある素材である。黄色の顔料に関する調査として、まずVatPaPhonphaoの黄色顔料が塗ってある建造物の調査に行った。色は淡いパステルイエローである。石の元を辿り、2014年3月5日に5人でXiangNgeun村に行った。XiangNgeun村はルアンパバンから車で約27㎞の位置にある。情報文化観光省の現地役人Mr.INSAVENGBOUNMUNUTHAMに出迎えてもらい、採取現場まで案内をしてもらった。開始から14分で6kg採取することができた。
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