lao_20th
15/108

ワット・シェンムアンブロンズ仏修復前ワット・アーパイ 漆喰仏修復中同修復後13○三次元測定に関する報告 第20回修復プロジェクトにおいては、念願の三次元測定器の導入が実現した。 この三次元測定器は、ヨーロッパ製の製品名Artec3DScannerモデルEvaである。発売は数年前であるにも関わらず、アップデートが12回ほど行われており、ソフトが非常に使いやすくなっ その他素材別の仏像としては、漆喰仏・石仏・貴金属仏・玉仏等が見られるが、漆喰仏を除いて当プロジェクトでは、修復の為の調査研究が行われて来なかった。我々としては残念だが、プロジェクトの規模を考えると、これ以上の拡大は物理的に無理だと思えるため、今後の計画に予定はない。た。処理能力と機能性が高められ、元来のものに比べ3Dモデルがダイレクトに表現できるのが有難い。更にサイズが小型のため、海外での使用に適している。また22回終了後、小型の仏像等のスキャンが可能なEinScanPro2Xの購入を行った。このタイプはさらに精密なスキャンができ、必然的に対象物の編集時間が大幅に短縮できるようになった。仏像の3次元測定による修復記録の作成は、ラオスにおける我々の修復方針においても重要な関わりがあり、仏像の修復部分に今後、変更が生じた場合の現状復帰がより可能になると考えられる。 三次元測定の作業内容は、差し当たり修復仏像から始めた。日本側の作業担当者は、購入時より担当した研究生の岡村逹人で、帝京大学近藤氏の指導のもと、現在22回終了時において37体の記録を終了した。さらに継続中の作業として、ワット・ビスン3体ワット・タットノイ2体のスキャン後の編集を行っている。 また将来的には、文化財としての仏像がルアンパパーン内だけで1000体を超え、さらにラオス国内全体を合わせると、相当数が予想される。そのため、最終的にはラオス独自で、加えて各ラオス地域の公共機関で、三次元測定による仏像のデータ保存を行うべきだと考えている。 いずれにしても、ラオススタッフに三次元測定器の使用に慣れてもらう必要があり、今回のプロジェクトでは、シンテーワとカムスークに実習を行ってもらった。 最近、タットノイにおいて火災があった。今回のプロジェクトでも、そのタットノイから2体の修復依頼があったが、幸いにも修復可能な破損状況であったため、失われずに済んだ。もしも現状を留めないほどの破損であった場合や、ラオスにとって重要な仏像が破損してしまった場合を考えると、今後はレプリカの作成が重要になってくると思われる。 なおレプリカの作成は、重要な仏像等の収蔵庫での保存の必要性と、仏像を公開することにも考慮して、是非とも作成していかなくてはならない。 こういった場合、三次元測定器と合わせて自動彫刻機の導入を行わなくてはならないが、金額が高価の為、現状では考えられない。しかし三次元

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る