103身延山大学世界遺産ラオス仏像修復プロジェクト20周年記念誌編集担当 身延山大学世界遺産ラオス仏像修復プロジェクト20周年記念事業の一環として本記念誌が無事発行に至りましたこと、ご協力いただいた皆様方に心から感謝申し上げます。 振り返れば20余年前の2001年9月、当時学生であった私も記念すべき第1回事業に参加させていただきました。バンコク、ビエンチャンを経てルアンパバーンに到着するまで空路で2泊3日をかけ、初めて現地に降り立った折、何と遠い所に来たものかと感じたことを昨日のことのように思い出します。 2020年度と2021年度はコロナ禍により現地渡航による事業は中止となってしまったものの、20年に亘り本事業は現地での修復調査活動を中心に継続し、年々その存在感を高めてきました。事業開始間もなくは現地に確たる伝手もなく、ラオスの方々との意思疎通にさえ苦労することもありましたが、その頃参加した学生たちが経験を積み、今では事業活動の中核として活躍しています。 本事業はこの修復調査活動のみならず学術研究や仏像の盗難対策など様々に展開しており、本学の教職員・学生はもとより学外の専門家の先生方にも多数ご参加いただいております。 本記念誌は本事業の活動記録に加え、これらの先生方に研究成果をおまとめいただいた記念論文を掲載したものとなっております。 柳本伊左雄先生には『ラオス世界遺産仏像修復プロジェクト20年のあゆみ』と題して、本事業の代表者の視点から見た事業の概観をまとめていただきました。本事業は柳本先生なくしてここまでの展開を見せることはなかったといえましょう。 大藪泰先生には『カモクを考える』と題して、ラオスの仏像制作修復に欠かせない伝統的な材料である「カモク」について、漆と漆工技術の専門家としての科学的な見地からの研究結果をまとめていただきました。 ジル・エマ・ストロースマン先生には『ラオスの仏像に使われた伝統的な素材』と題して、ラオスの伝統的な素材についてその使用法など4編に亘って考察していただきました。 鈴木稔先生には『仏像盗難対策に関する一研究』と題して、ラオスにおいて数年来問題となっている仏像の盗難問題についての対策を考察していただきました。 高田知仁先生には『ラオスに現存するクメール様式の仏像と関連史料』と題して、ラオスの仏像に見られる近隣諸地域の様式の混入、特にクメール(カンボジア)様式の仏像について比較考察していただきました。 末筆とはなりましたが、本事業のますますの発展を祈念すると共に、これまでお力添えをいただきました全ての皆様方に感謝を申し上げ、後記とさせていただきます。池 田 健太郎編 集 後 記
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