ラオス世界遺産修復プロジェクトとは

世界遺産の危機

No.56
No.56

ラオス全体や我々の活動に緊急を要する問題が発生している。
2009年2月と2010年2月に仏像体数の再調査を行ったところ、1,174体のうち約97体の確認が取れず、内56体が盗難被害にあっていることが判明した。その中に我々が修復したNo.56も含まれていたが、懸命な捜索の結果発見する事が出来た。

このような仏像の盗難被害を防ぐためにも、今後は仏像保全や各寺院のセキュリティーの問題を見直す必要がある。

修復室を訪れる観光客
修復室を訪れる観光客

その第一歩として、第12回プロジェクトにおいて仏像修復室の公開、さらに第13回プロジェクトでは「仏像修復展~日本・ラオス共同プロジェクト開催10周年記念式典~」を行い、現在までの成果報告と共に仏像保全等の必要性についての啓蒙活動を行った。今後も引き続き啓蒙活動を行っていく。

文化を守る

ラオス国ルアンパバン県は、フランス統治時代の街並みが現存していることから、1995年に世界遺産に指定された。その地区内にある仏像も世界遺産の一部なのである。
2001年9月、身延山大学とラオス文化情報省との間にルアンパバン内の仏像修復に関する調印を交わした。ここから現在までの10年間に及ぶプロジェクトが始動した。

プロジェクト発足当初は、地区内36の寺院調査や1,174体もの仏像基本台帳の作成・把握という基礎情報の収集からの着手であったが、現在は仏像修復活動の拡大・現地の修復技術者育成にまで進展を遂げている。

修復と研究

修復作業


2011年3月現在までにワット・ビスン内にある仏像21体の修復を終了している。

ルアンパバン地区内の寺院では、破損が進んだ仏像は須弥壇から降ろされ、人目に付かない場所に陳列されている。歴史的価値のある木彫仏像も多数見受けられるが、その価値を見出されずに埃をかぶり、風雨に晒され多大なダメージを受けている。
我々は、その壊れた仏像の修復・復元を行い、制作当初の姿を取り戻し、尚且つ寺院の景観を崩さない古色彩色を施す作業を行っている。
現在では、10年に及ぶ活動がラオスにおいても高く評価され、今後もその継続が期待されている。

ラオス漆・修復材料・制作技法の研究

接着剤として使用されるキシー
接着剤として使用されるキシー

漆採取風景
漆採取風景

将来、ラオス単独で修復を行うために、現在ラオスで入手可能な材料・技術で修復作業を行うことを目標としている。そのため、古来より伝わるキシー等の生活に使用されてきた多彩な樹脂の調査及び仏像制作技法であるパタイペットが修復に有効であるか研究を行っている。

ラオス漆についても研究を行っているが、個体数が少なく採取することが困難な状況である。そのため、仏像修復と並行して採取した漆の研究を行い、ラオスでの栽 培・採取を目標とする。

これらは有益な材料・技術であり、すでに修復に一部使用している。
しかし、正確に伝承されている確証はなく、今後はその整合性を求めると共に利用の幅を広げる研究を行っていく。

銘文解読

台座に刻印された銘文
台座に刻印された銘文

寺院に安置されている仏像の中には、寄進した由来や年代、王族の名前等が明記されているものも存在する。それらを読み解き、年代別に仏像の特徴が分類化されれば、修復作業において重要な基準になるため、解読作業を進めいている。

技術者育成

技術指導風景
技術指導風景

ラオスには修復を必要とする仏像が膨大に存在する。プロジェクトの修復活動だけではなく、ラオス独自の力で修復を行わなければ担いきれないほどである。

そのためビエンチャン国立美術工芸大学の教員を対象に技術指導を行い、修復技術の習得を目指した人材育成を行っている。

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